
少子高齢化の世の中では、次代を担う若手が少ないことで、様々な分野に影響をもたらしています。とりわけ影響の度合いが大きいのは伝統工芸界です。伝統工芸は高い技術を身につけていく必要がありますが、職人の域に達するまでには長い年月を必要とします。ただでさえ人材を選ぶ世界である上、若い世代が少ないことで職人の成り手も年々、減少傾向にあるのです。
存続の危機
実際、後継者不足にあえいでいる伝統工芸も多く、職人の高齢化により廃業をするところや、今の職人が最後の存在というケースも珍しくありません。 職人の成り手が少ないのは、若者が少ないこと以外にも原因があります。待遇面が良いケースばかりではなく、生活を考慮すると厳しい現実も否めません。伝統工芸界へと貢献をしたいという強い意志がないと、現実的な問題を考えた場合、一生の仕事として選びにくく感じさせてしまう現状もあるのです。
後継者不足への対策
後継者不足の現状を打破するためには対策を講じなければいけませんが、ひとつに伝統工芸への関心を引くことが挙げられます。現代人からすれば、そもそも伝統工芸への馴染みは深いものではなく、その存在すらあまり知られていない現実があります。後継者を集めるには、まず伝統工芸とはどういったものであるのかを理解してもらうと共に、魅力を伝えるための工夫が欠かせません。
親近感を醸成する
例えばSNSで発信をしたり、企業コラボなどをしたりする取り組みも行われていますが、こうした活動により若者にも伝統工芸への興味を抱いてもらうことができます。 積極的に体験の場を設けるのも有効と言えるでしょう。職人の世界はとっつきにくさを与える節や、厳しい世界であるように感じさせることで、どこかハードルが高そうに思わせてしまうものです。まずは一度体験をしてもらうことで身近に感じてもらいつつ、伝統工芸への理解を深めてもらえる効果に期待ができます。 現実的な問題として待遇面を強化することも必要ですが、ただ、この点に関しては容易に解決できるものでもありません。伝統工芸への価値観が変わっている世の中では、昔ながらの良い物を買うという意識が希薄になっている面があります。
課題
モノが売れなければ待遇面の改善も難しく、成り手も集めにくいという悪循環に陥ります。まずは伝統工芸がいかに日本にとってかけがえのない存在であるのかを示しながら、魅力的な世界でもあるという情報発信が必要不可欠ですので、インターネットを駆使した現代的なアプローチにより改善を目指す姿勢が求められるでしょう。